空を赤く染め上げた彩雲。その中に悠然と圧倒的な存在感で富士の御山が立っています。
日展作家の二代真右ェ門(九洲夫)は「富士」のような伝統的な絵は積極的には描いてきませ
んでしたが、近頃、鷹巣瑞光堂店主の「先生の得意の釉(うわぐすり)の妙技で私の好きな
富士の山を描いてくださいよ。絶対に良い作品になると思いますよ。」との言葉にひらめきを得、
崇高な富士の魅力にとりつかれたように富士を描く様になりました。
この作品「黎明富士」は幻想的雄大な姿で仕上ったと思います。
他にも朝日に映える「旭日富士」
奇跡ともいうべきの光景の「赤富士」
夜空に輝き映える「明星富士」など
様々な富士の魅力を感じて頂ければ幸いです。
他、「金雲富士」「東雲富士」「黄昏富士」など。
(銘は特別この商品に限りローマ字のkusuo-となっています。)
「黎明富士」以外の作品は鷹巣瑞光堂のサイトよりご覧いただけます。
http://www.apz.co.jp/まで。

陶額「黎明富士」
創業明治15年 鷹巣瑞光堂 幸平店
tel 0955-43-2639
mail : zuikoudou@apz.co.jp
真右ェ門は新作を創る時が一番苦悩するといいます。暗中模索。霧のかかった迷路ような路を右にいったり、左にいったりして少しでも前に進もうとしているのが痛いほど伝わってきます。
この時期には失敗作が数多く生まれます。(もちろん市場にはだしません。作家の資料としてオクラ入りします。)こうした悲しみを乗り越え、新作が生まれます。その時の喜びは夜明けの朝の光を見出したみたいです。
だから新作はよろこびと悲しみを包み込んでいます。
最近偶然入った喫茶店で「タオ・老子」という本が目にはいりました。
老荘思想は庶民の知恵がたくさんつまった知恵の宝庫なんですが、それをわかりやすく解説していました。
学術的ではなく、詩的な説明がしてあり面白かったです。
注文して読んでみました。
これほど、わかりやすくモダンに老荘思想を説明した本はありません。
老荘思想の「無」の思想はお茶の世界と深い関係をもっているので、
とても参考になりました。
皆さんも読んでみませんか?おもしろいですよ。
先日私がある二人のろくろ職人さんが話しているのを聞いたお話です。
話が熱中するなか、ひとりの方はすごく自分の技術を頼みにされる方で、
「茶陶などの土まかせ、、炎まかせの作品は気楽だなあ。」と言われました。
もう一人の方は茶陶をされる方で、怒った口調で、
「自然に身をゆだね、信じきることは大変難しいことですよ。」と言い返してました。
そうしたら「君は自然の力に頼りすぎている。人の力信じたときに自然の力がはたらくのだ。」と最初の方はいわれたので、
「あなたこそ自分の声にとらわれすぎているんじゃないですか?
技術を磨くことの真意は、自然の前には自分がいかに無力かを知ることですよ。
そして自然と一体になることが大切なのです。」
と茶陶をする方は言われてました。
これ以上話したら二人が喧嘩になりそうだったので、「まあまあ。」と言ってとめました。
二人は腹は立ててたようですが、お互いを認めているようでした。