はじめ、伝統色の強い有田において、真右エ門が手ひねりの技法をとりいれたころには、
大変な周りからの反発がありました。
「そんなの非常識だ。できるはずが無い」
「それだったら、磁器をやめて、土もの陶器をすればいいじゃないか」
磁器は陶器に比べて割れやすく難しいとされてきました。
それを様々な技法を試すことにより、真右エ門は独自の手ひねりの磁器の
作品を生み出しています。
だだ、真右エ門は有田の伝統のろくろ技術を否定しているわけではなく、
それはそれで受け継ぎながら、新しい作風を生み出そうと努力しているのです。
なぜ手ひねりをしようと思ったのかについては、
手ひねりの作品を握った時の柔らかな感覚がたまらなく好きだからだそうです。
なぜ、磁器にこだわるか?
それは、洗いやすい清潔感が好きだからだそうです。
空を赤く染め上げた彩雲。その中に悠然と圧倒的な存在感で富士の御山が立っています。
日展作家の二代真右ェ門(九洲夫)は「富士」のような伝統的な絵は積極的には描いてきませ
んでしたが、近頃、鷹巣瑞光堂店主の「先生の得意の釉(うわぐすり)の妙技で私の好きな
富士の山を描いてくださいよ。絶対に良い作品になると思いますよ。」との言葉にひらめきを得、
崇高な富士の魅力にとりつかれたように富士を描く様になりました。
この作品「黎明富士」は幻想的雄大な姿で仕上ったと思います。
他にも朝日に映える「旭日富士」
奇跡ともいうべきの光景の「赤富士」
夜空に輝き映える「明星富士」など
様々な富士の魅力を感じて頂ければ幸いです。
他、「金雲富士」「東雲富士」「黄昏富士」など。
(銘は特別この商品に限りローマ字のkusuo-となっています。)
「黎明富士」以外の作品は鷹巣瑞光堂のサイトよりご覧いただけます。
http://www.apz.co.jp/まで。

陶額「黎明富士」
創業明治15年 鷹巣瑞光堂 幸平店
tel 0955-43-2639
mail : zuikoudou@apz.co.jp
独自の「鉄釉」の技法を用い、全面には黒釉を施し、より鉄分を含む茶色の釉を斑状に施した難度の高い作であり、黒地に映える斑模様は優美な渋さを映し出し、二代目の思考をこらした中でうまれた、豊かな景色を想わせる作品でございます。

玳皮天目茶盌 口径12.5×高7.5cm
二代目の真右ェ門らしく端正な姿の器のなかに黒と赤が激しくも調和しています。
全面にわたる豊かな「天目(黒)」の発色も漆黒に奥深く輝き、その中に風情ある、赤の景色が広がっています。作者の感情をそのままぶつけた作品であり、ふたつとして同じものができない徳利でございます。

酒器「山景色」 徳利 直径9×高13.5cm ぐい呑 直径3×高3.5cm