あえて分厚く花瓶などの生地を作った場合、当然重さを調整するため、
削り込まなくてはいけません。
まずは荒削り、これは体全体の力を込め、力を抜かずに十分にやります。
体を固め、腹を張り、腰を据え、左右の手に同じ力を込め鉋を持ち削ります。
そのあとに多少力を抜いて自然の手加減をし、表面を削り次に備えます。
そして本削り、ここが一番大切で、鉋と人の手が一つになり、
削る一点を見据えながら削ります。
実はこの本削りにはコツがあります。
それは・・・
仕上げたいという欲を頭から追い出し、ただひたすら削るのです。
そうすることにより、微妙な表面の味わいができるのです。
仕上げなくてはいけないというこだわりを捨てることが、
逆に素晴らしい仕上がりを生み出すのは不思議です。
私たち、真右ェ門窯は様々な方法で焼き物を成形していますが、
本日はその中で三種類の方法を話したいと思います。
一、轆轤(ろくろ)整形。
これは回転する轆轤の上で、磁土を引き上げるやり方です。
磁器は陶器に比べ硬いので成形はしにくく、難度の高い技術が必要です。
全国の焼き物の九割は轆轤成形だといわれています。
二、手びねり成形。
轆轤で大まかな形を作った後、土を指先で形を整えて、整形しています。
効率は悪いですが独自の風合いが出ます。
三、板作り(タタラ成形)
板状にした陶土を曲げたり張り合わせたりして成形する方法。
角状のものや板皿などに適しています。
タタラとは粘土の塊を糸で切り、板状にしたものです。
その他にも様々な方法がありますが、今回はここまで。
表現するものに応じて、型にとらわれず、
様々に道具、成形方法を変えるのが日展作家の世界です。
私の主観では、表現方法や寸法(サイズ)などは、世のニーズに応じて変化していくものだと思うし、そうあるべきだとおもっています。(特に作家は時代の一歩先を読む感性は絶対必要です。)
ただし、先人のから受け継がれてきたは日本の伝統文化の深い精神性、職人の仕事へのプライドはこれからも変わらないとおもいます。
今、社会は日々変化していますが、心の内を見つめ、自分しか創れない、人の心に響く作品を創りたいですね。
縦型の花瓶の成形において、上下の胴部を別々に成形し一つの
花瓶にする方法を胴継ぎといいます。
背の高い花瓶はこうして作られます。