私たち、真右ェ門窯は様々な方法で焼き物を成形していますが、
本日はその中で三種類の方法を話したいと思います。
一、轆轤(ろくろ)整形。
これは回転する轆轤の上で、磁土を引き上げるやり方です。
磁器は陶器に比べ硬いので成形はしにくく、難度の高い技術が必要です。
全国の焼き物の九割は轆轤成形だといわれています。
二、手びねり成形。
轆轤で大まかな形を作った後、土を指先で形を整えて、整形しています。
効率は悪いですが独自の風合いが出ます。
三、板作り(タタラ成形)
板状にした陶土を曲げたり張り合わせたりして成形する方法。
角状のものや板皿などに適しています。
タタラとは粘土の塊を糸で切り、板状にしたものです。
その他にも様々な方法がありますが、今回はここまで。
表現するものに応じて、型にとらわれず、
様々に道具、成形方法を変えるのが日展作家の世界です。
白洲さんの選んだ骨董品を以前テレビで放映していましたが、彼女の所有していたという
焼き物の好みはとても素直で品のいいものでした。
この人はかなりの目利きだと思いました。
洋服もかなりお洒落な人だったそうで、服も焼き物も理屈ではなく直感で選んでいたそうです。
器の好みはやわらかくて強い形が好きだったそうです。
薩摩出身で率直な人でごまかしが嫌いな人だったそうです。
昔の収集家は焼き物の名品を所有することを、「預かる」という言葉で表現していたというをある人から聞きました。
家宝にして、代々後世に伝えるという意味だそうです。
自分だけではなく、代々伝えるという言葉。
これを言われたら、陶芸家としては冥利に尽きますね。
こういうひとには本当に感謝いたします。
何百年も残るものをつくりたいですね。
日本の工芸の世界において「時間が美しさを加える」という価値観があります。
とくに青磁の器などは、使えばつかう程目に見えない傷が表面についていくのですが、
それが逆に味わい深いまったりとした光沢をだすのです。
これは光の乱反射によるものです。
焼き物の成熟を楽しむ感性が日本人にはあるのでしょうね。
ただ無理に傷をつけても、自然についた傷じゃなかったら不自然さが残るのは不思議です。
私は東洋の山水人物画が好きなのでよくみます。
感じることは、人間が自然の風景とよく調和しているということでした。
これは東洋、とくに日本の特徴だと思います。
人の個性が主体性を失わず、自然に見事にとけこんでいる。
まさにお茶の世界に通じる「和」の精神が感じられます。