有田の今の70歳の職人さんの世代はがんこな人が多く、
一匹狼みたいな人が多かったそうです。
経営者さんにからかわれた職人さんが、怒って一メートルの花瓶を
頭上に高々と持ちあげ、がっしゃーん、とたたき割ることもありました。
今はそんな職人さんはあんまりいませんが、昔は気難しいひとが多かったんでしょうね。
有田の先輩の職人さんは基本的に人を鋭く見抜く目をおもちなんで、お世辞は嫌がる
人が多いです。
嘘のない心からのほめ言葉でなくては嫌がられますね。
まごころをもって、礼儀よく、ごまかしなく接したら、意外と付き合いやすいんですがね。
純な精神状態でなくては良いものがつくれないからかも知れません。
呉須を用いて生地に藍色の絵模様を描き、その上に無色の釉を
掛けて焼き付けた磁器のこと。
日本では青い模様から藍染を連想させたらしく
「染付」の名で呼ばれる。
トンボや蝉など小さな虫が作陶室に紛れ込んでくることがあります。
二代目は「絶対殺すなよ」と言って、そっと外に出します。
「どんなに小さい虫も生きてるんだ」というのが心条です。
ただし、蚊は別で叩いてつぶしちゃいます(苦笑)。
さされたりしたら作業に集中できませんからね。
以前お客様から、「陶芸家の方は自分の食卓にも良い器が使えていいですね」
と言われたことがありました。
周りから見たらそう思えるんでしょうか?
食卓は有田の窯元は伝統的に二級品を使います。
お客様と同じ器では食べれませんよー。
月白草花紋のヒントになったのは、有田の染付です。
染付を今にどう表現するか?
温故知新。
二代真右エ門が染付に立ち返り、草花の模様を作品によく描くのは
自然が持つ命を描かなくてはいけないという、作家の信念なのでしょう。
草花の線は本当にやわらかく見る者の心を和ませてくれます。
ぜひ、現代の染付を感じてください。