日本の工芸の世界において「時間が美しさを加える」という価値観があります。
とくに青磁の器などは、使えばつかう程目に見えない傷が表面についていくのですが、
それが逆に味わい深いまったりとした光沢をだすのです。
これは光の乱反射によるものです。
焼き物の成熟を楽しむ感性が日本人にはあるのでしょうね。
ただ無理に傷をつけても、自然についた傷じゃなかったら不自然さが残るのは不思議です。
日本の工芸の世界において「時間が美しさを加える」という価値観があります。
とくに青磁の器などは、使えばつかう程目に見えない傷が表面についていくのですが、
それが逆に味わい深いまったりとした光沢をだすのです。
これは光の乱反射によるものです。
焼き物の成熟を楽しむ感性が日本人にはあるのでしょうね。
ただ無理に傷をつけても、自然についた傷じゃなかったら不自然さが残るのは不思議です。
私は東洋の山水人物画が好きなのでよくみます。
感じることは、人間が自然の風景とよく調和しているということでした。
これは東洋、とくに日本の特徴だと思います。
人の個性が主体性を失わず、自然に見事にとけこんでいる。
まさにお茶の世界に通じる「和」の精神が感じられます。
景色とは当初から意図したものではなく、偶然窯の中で生じた模様のことをいいます。
釉の流れや貫入、焼き景色など、これは人間の意のままにならないもので、日本人は「自然」の領域に入るものとして、
「景色」という自然を指す言葉が使われてきました。
日本人はこの自然の力に対して深い畏敬の念をもってきたようです。
真右エ門の作品にも偶然景色があらわれることがあります。
焼き物の世界は人の手が届かないことがある深い世界です。
中国には四季を表すのに、青春・朱家・白秋・玄冬という言葉があります。
その中で、老子によれば、玄冬の「玄」とは黒いなかにかすかな赤みがさしていて、
そこからまた命がはじまる、いわゆるブラックホールみたいなものだそうです。
まっ暗闇とは違う、深く艶やかな黒だそうです。
真右ェ門も最近この黒の魅力にとりつかれ、茶碗をはじめとする様々な黒の作品を
つくっています。黒は勉強すればするほど、深い世界ですね。
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