私たちが美術品をつくるときの心構えは「千年残る焼き物をつくる」です。
焼き物は生きている、という言葉がありますが、良い材料を使い精魂こめてつくったものは時間が
経てばたつほど良い味わいが出てきます。
しかし、手抜きでつくったモノや材料の質を落として作ったものは時代がたてばたつほど劣化してゆきます。
これは不思議です。
これは決局のところ、制作する本人が3年間くらいの流行りものでよいのか?千年もつものがいいのか?
どちらの価値観でつくったかということでしょう。
どちらの価値観がいいか、悪いかはわかりませんが・・・
私どもはやはり千年残るモノをつくりたいです。
油滴にしろ、辰砂にしろ良いものは時代とともに味がでてきますから。
人によっては、「真右エ門さん、もっと土の材料の質を落としたり、工程を合理化して安く売って
くださいよ」というひともいらっしゃいますが、真右エ門は絶対にそれをしませんし、それをやって
しまったら終わりだということをわかっているんでしょうね。
素地をつくるときも、すごく形にこだわりますよ。上から釉薬をかけちゃうのにね。
「そんなことしても、うわぐすりがどっぷりかかったらムダじゃないか」というひともいますが、
真右エ門は「いや、この削りが隠し味になるんだ」といって譲りませんね。(苦笑)
私もですが。(爆)
「普通のひとがわからないところにこだわるのがプロだ」が口癖ですね。
時代が経てばたつほど良い味わいになる「家宝」をつくるのが我々の夢なんでございます。