二代真右エ門が花瓶の高台わきが2.3ミリ薄かったので、焼いたときにグシャリと歪んでしまった時がありました。
品良く歪めば花入れに見立てられたのに品悪く歪んでしまいました。
私が「もったいないからとっておいてはどうですか?」といいますと、二代は「遊びじゃないんだ。自分の未熟さ
が悔しいからたたき割る!」と割ってしまいました。
二代は「もっとロクロの技を磨かねば」と反省していました。
自分がきちんとした仕事をした後の歪みは味になりますが、未熟故の歪みは味にはなりません。
こういうことを二代は言いたげにしていました。
もちろん一生懸命つくった作品に対する愛着はあるそうで、心の中で「供養」をしているそうです。
昔は有田にも焼き物を供養する儀式があり「茶碗供養」といったそうですが、今はあんまり
やっていません。
しかしこうした良き伝統の心は大切にしていきたいですね。