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2009 年 2 月 18 日

輝く宇宙の黒 「油滴天目茶碗」

カテゴリー: 焼物の話「釉薬について」 — hiro @ 11:42 PM

今回は黒茶碗のなかで、最も美しいとされる南宋時代(1127~1279)の油滴天目茶碗の紹介をしたいと思います。陶磁器の専門家でなくても、油滴天目の気品の高い美しさは、ある程度、一般の方々にも知られているようですね。時代劇とかに、天目台という台の上に乗せて、差し出されているシーンをよくみかけます。今回は、その油滴天目茶碗の魅力を皆様と一緒に感じていきたいと思います。

 

油滴天目茶碗は南宋の陶工が皇帝や士大夫階級といわれる知識人に一生懸命作りのこしたものと伝えられます。神秘的な美しさと魅力をはなつ油滴天目茶碗は、単に目を楽しませるだけではなく、心を研ぎ澄ました時、宇宙深奥の景色を読みとることができる、として重宝されてきました。ここで士大夫階級とは、どういう人々かと言いますと、努力して庶民から台頭してきた知識人階級で、非常に精神性の高い美を求めたと伝えられています。すべてをつつみこみ昇華する黒、それこそが、宋の時代にこめられた深い精神性です。

 

当主の真右ェ門も、油滴天目はやっていますが、自分の納得いくものがでるのは、一年間に2、3個でるかどうかと言っています。いまだに次にどういうものがでてくるかわからない楽しみ、変化は無限、それが油滴天目をつくる喜びです。国宝の油滴天目を目指したいですね。

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